2011年2月12日土曜日

フナグル名古屋ツアー & お梅さんのお話 No.0155




「うなぎのひつまぶし」はご存知ですか?

今日は、あなたが名古屋まで行って
ひつまぶしを食べたくなるお話をしてみましょう。

名古屋に、蓬萊軒(ほうらいけん)というお店があります。

鰻のひつまぶしの元祖で有名な店です。

そこへ行ってきました。


・・・


このお店には、「いわれ」があります。
お店というより、ひつまぶし自体に。

これは、昔に聞いた話を思い出しながら書いています。
なので、少々、事実とズレはあるかもしれません。

でも、ほぼ事実のはずです。


・・・


信長が桶狭間に行く前に祈った、
熱田神社のすぐ近く、そこに蓬萊軒はあります。


蓬萊軒は古いお店です。


今は5代目なのかな?
いつからかは私は知りません。

でも、、、

江戸末期か明治の頃か、蓬萊軒のある熱田には、
遊郭がありました。

そして、そこにうなぎを出前していました。

その頃のお話です。


・・・


その蓬萊軒に、一人の女性従業員がいました。

名前は、お梅さん。

お梅さんは、貧しい地方から売られ、はるか遠く
名古屋(当時は尾張)に働きにきていたのです。

お梅さんは、よく働く女性でした。

明るく、アイデアに富み、皆から好かれていました。

とくに、当時の旦那さん、
蓬萊軒の、、、今で言う社長はことのほか、
お梅さんをかわいがっていました。


・・・


ある日、出前の丁稚さんが、遊郭に出前に行き、
大切な「お椀」を割ってしまいました。

当時、器はとても高価で、
丁稚の給料で弁償できる代物ではありません。

お椀を割った丁稚が折檻されているのを見たお梅さんは、

「旦那さん、そんなに怒るのだったら、
 割れない器に入れたらどうでしょう?」

と提案したのです。

それで、お櫃(おひつ)に入れて持っていくようになりました。

これが「ひつまぶし」の「ひつ」の始まりです。


・・・


当時、うなぎは大変な高級品でした。

もちろん、今の時代のように、1人づつ
どんぶりが出前されていた訳ではありません。

大きなお椀(蓬萊軒の場合はおひつ)に入れたうなぎを
しゃもじで切り分け、ご飯と共に、出前先で
分けていたのです。

しゃもじで切る訳ですから、とうぜん、
取り分ける際にうなぎの「大きい小さい」が出てしまいます。

なので、いつもお客様同士の仲で、喧嘩が始まってしまいます。

私のが小さい、あなたのは大きい・・・


・・・


こういう不満、いまでいうクレームに頭を悩ました旦那さんは、
お梅さんに相談しました。

「お梅さん、なんかいい方法はないかね?」

お梅さんはアイデアマンです。

すぐに解決策を提案しました。

「旦那さん、うなぎを細かく切っておいたらいいですよ」

厨房の料理人はこぞって反対しました。

「高級食材のうなぎをバラバラに切るなんて、とんでもない!」

というものです。

でも、お梅さんは、
「とにかく、なんとか試しにやってみてください」

と言い張りました。


・・・


結果、一センチ幅に切られた鰻は、
お客さんにとても評判がよく、
しかも、細かく切る事で
たれが滲みて、さらにおいしくなる事がわかりました。

(その後、お茶漬けにするなどの改良を加え、
 現在のひつまぶしになりました)

蓬萊軒は流行りにはやり、お店は売れに売れるようになりました。

お梅さんの評価も、文字通り、
うなぎ上りだったのです。


・・・


でも、そんなお梅さんを見て、危機感を感じる人がいました。

その旦那さんの娘さん。

跡取りの娘です。

よく働き、明るく、アイデアマンで、誰からも好かれるお梅さん。

そのお梅さんが日に日に人気があがるのを見て、
「嫉妬」を感じるようになっていったのです。

「このままでは、お梅さんにお店を乗っ取られてしまう」

跡取り娘さんは、その恐怖に捕われるようになってしまいました。


・・・


ある日、お梅さんをかわいがっていた旦那さんが
亡くなってしまいました。

それを機に、
跡取り娘さんは、お梅さんを追放しました。

貧しい地方から出稼ぎというより
売られてきたお梅さんには、
帰る場所はありません。

お店を心から愛していたお梅さんは、

「蓬萊軒に戻りたい」

と、ひとり泣きながら暮らしていました。


・・・


お梅さんが蓬萊軒に戻る事はありませんでした。

そのまま、身よりもないまま、
寂しく亡くなったそうです。


・・・


時は今。

しばらく前にお亡くなりになった、
蓬萊軒の名物女将さんがいました。

4代目、鈴木せき子さん(享年88)。

元気で、名古屋のシンボル的な人で、
中日ドラゴンズの始球式をまかされたり、
貴乃花と友達だったり、
地元でとても有名な人です。


・・・


その女将さんは、
小さい頃、お梅さんを見た事があるそうです。

その女将さんが、

「お梅さんのことは、ちーせー頃見たで知っとーて。
 母さまはなんかいろいろ言っとりゃーすけど、
 そんなわーりー人じゃにゃーて」

(お梅さんは、私は小さい頃見たから知っています。
 お母さん(お梅さんを追放した人)はいろいろ言っていたけど、
 決してそんな悪い人ではありませんでした)

と涙ながらに話していたのを覚えています。


・・・


名物女将は、

「今、蓬萊軒があるのはお梅さんのおかげ」

と、お梅さんの祠を建て、
毎日お参りを欠かさなかったと聞きます。

いまも、その祠は敷地内に建っています。


・・・


そんな女将も、蓬萊軒に命を捧げた人です。
うなぎの命はタレ。

戦時中、女将は

「このタレだけは」

と、うなぎのタレを入れた壷を肌身から離さず、
一緒に疎開し、守り抜いたそうです。


・・・


今日のふなぐるは、その蓬萊軒のひつまぶしです。

アホ面で口いっぱいほおばるフナに、
お梅さんと女将さんの気持ちは伝わったのでしょうか?







お梅さん、女将さん、すみません。







すでに憎らしくさえあります。







お茶漬けにするもうまし。


・・・


ひつまぶしの正しい食べ方


①お櫃のなかを十文字に切る

②一杯はそのまま茶碗につぐ

③2杯めはねぎ、のり、わさびなど薬味をまぶして食べる

④3杯めはお茶漬けにして食べる

⑤4杯めは好きなスタイルで食べる


です。

うまいよ。

名古屋に行ったら、一度行ってみてね。
並ぶので、時間の余裕持っていってね。

20 件のコメント:

  1. 廣田 会長
    船川 様


    いつもヨダレが出そうな
    グルメ情報ありがとうございます!


    フナちゃんは「ひつまぶし」って
    ガラじゃないですよ。

    「ヒマつぶし」みたいな顔して (笑)


    お梅さんの話、いい話ですね。

    女将がお梅さんの祠を建て、
    お参りを欠かさなかったから、
    蓬莱軒が今もあるんでしょうね・・・。


    今、我々が平和に暮らせるのも、
    戦争を乗り越えて頑張ってくれた
    自分の親やそのまた親のおかげですね。

    そして、ブログで有益な情報発信を
    して下さる廣田会長に感謝です。


    フナちゃんは最近天狗になっているので、、
    そのうち伊藤●●ンにシバかれると思います (笑)


    次回も楽しみにしております!

    返信削除
  2. はじめまして。武田と申します。
    船川さんの顔が面白すぎるのもお見事!なのですが、お梅さんのお参りを欠かさなかった女将さんのお話に感動しました。
    私も、せわしない生活の中で、ふっと我に返るお墓参りが大好きでして、感謝して生きていきたいと感じました。
    またのぞかせて頂きます。貴重なお話をありがとうございました。

    返信削除
  3. 野田はじめ2011年2月12日 22:38

    廣田先生、こんばんは!

    船川さんが馬鹿な顔して写真に写るようになりましたね。

    舐められたくないと思ってたら出来ないことです。やっぱり成長されてるんですね。

    返信削除
  4. 林さま、コメントありがとうございます!

    >いつもヨダレ

    ありがとうございます!ヨダレが出てくれれば成功ですね!

    >お梅さん

    はい、このお話は名古屋市民の6割が知っています(嘘)

    これを考えながら鰻を食べると、なおうまくなるというお墨付きです!

    >自分の親や

    そうですね、その気持ちを忘れず行きたいですね!私もつい忘れがちですが、気をつけて思い起こしながら行こうと思います!

    >廣田会長に

    ありがとうございます!いつも覗いてくださって、こちらこそ感謝です!

    >そのうち伊藤●●ン

    いいですねー!もしそんな事が会ったら、「浮田さんがよろしくと言ってたよ」と伝えます!

    また覗いてくださいね!

    返信削除
  5. 武田さま、コメントありがとうございます!

    >船川さんの顔が

    はい、私もそう思います!小面憎い、という表現がぴったりですね!
    なかなか人の感情をイライラ冴える術を身につけたようです!

    >お墓参りが

    いいですねー、私もあまり実家には戻らないにせよ、できる限りお仏壇とお墓には手を合わせるようにしています!感謝して生きる、とても大切な事で、また、幸せに生きるための一番大切な事ですね!

    >またのぞかせて

    ありがとうございます!ぜひまた覗いてくださいませ!

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  6. 野田はじめさま、コメントありがとうございます!

    また、以前のコメントを失礼したようで、申し訳ありませんでした!

    >船川さんが

    そうですね、生まれつきかもしれませんが(笑)

    >舐められたくないと思ったら

    実は、その通りで、「馬鹿になる」というのはある意味自信の現れですよね。少々の事ではひょろつかないぞ、というものを持っていないと、馬鹿にはなれないものです!

    今度もっと馬鹿面させてみますか(笑)

    また覗いてくださいね!

    返信削除
  7. 廣田会長、こんばんは。

    私は四日市に住んでいますので、蓬莱軒にはたまに行きます。

    ひつまぶしに、そんな意味があったなんて・・・・

    これからは、ひつまぶしを食べる時は、お梅さんの事を思い、そんなお梅さんの事もコヤシにするべく、ありがたくひつまぶしを頂こうと思います。

    本日も学びとコヤシ、ありがとうございました!^^

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  8. 周一さま、コメントありがとうございます!

    >ひつまぶしを食べるとき

    はい、ひつまぶしのタレの味がさらに染みるようになります!逆に言えばこのようなバックボーン、挿話があれば商品自体に付加価値がつきますね!

    >本日も

    こちらこそ、いつもありがとうございます!

    また覗いてくださいませ!

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  9. こんにちは、廣田先生


    ポカポカ陽気で、静岡のガンダムを見に来ております。5才の小僧と感動しております!


    お梅さんのお話に、涙しております。


    「なんで、泣いてるの?」
    と小僧に言われるくらいなので、、、

    今、僕の周りの人達は、さぞ気持ち悪い事でしょう。(オッサン泣いてるし…)

    お梅さんは、凄い方ですが亡くなった女将さんのエピソードにやられました。


    わかる人に分かってもらえれば、これ以上幸せな事はないですね。


    ありがとうございます。

    返信削除
  10. 廣田先生

    お梅さんと女将さん(鈴木せき子さん)の話は、本当に感動的ですね。

    ご先祖様を敬う気持ち、周りの人に感謝する気持ち、人としてこうしたことを忘れてはいけないと改めて教えられました。

    ところで船川さんはというと、ますます自信が深まっていると見えて、かなり挑発的な面構えになってきましたね。

    蓬莱軒の女将さんとは真逆の道を進もうとしているのか?

    それとも、世間様を敵に回してもかまわないぐらいのマインドセットができたのか?

    頼もしいと同時に、その性根を実際に確かめてみたいと思うようになってきました。

    時間は、どのぐらい人をおちょくった顔になっているのか楽しみにしています。

    返信削除
  11. 直希さま、コメントありがとうございます!

    >ポカポカ陽気で

    そうですか、静岡もいいお天気なのですね!東京もいいお天気です!

    >涙しております

    おおお、ブログお読みになってないてくださるとは!ブロガー冥利に尽きますね!ありがとうございます!

    >わかる人に

    そうですね、世界中すべての人にわかってもらう事は不可能です。私たちも、他人さまの支持は気になります。でも、自分がわかってほしい人にだけわかってもらえればそれでいいですね!

    また覗いてくださいませ!

    返信削除
  12. 福澤さま、コメントありがとうございます!

    >周りの人に感謝

    そうですね!忘れがちな事ですが、何度も思い返していきたいものです!

    >真逆の道を

    つい吹き出してしまいました!こうなれば落ちるところまで落としてみましょうか(笑)

    悪役キャラになっていきそうですね(ニヤリ)

    >世間様を敵に

    たとえ世界中を敵に回しても・・・とうのたんの彼氏ができそうですね(古いか)

    どんどん加速させますので、なにとぞ応援よろしくお願いいたします!

    返信削除
  13. 名古屋に住んでます山崎と言います。

    蓬来軒は有名です。

    歴史もよくご存知で、まさに食に歴史と文化ありと言った感じですね。

    まだ他にも手羽先やあんかけスパゲティーとかありますので食してみて下さい。

    返信削除
  14. 山崎さま、コメントありがとうございます!

    >また他にも

    ありがとうございます!私は、実はB級グルメ日本一は名古屋ではないかと思っています!手羽先、あんかけスパ、天むすにミソカツ、味仙の台湾ラーメン、あまりうまくないけどなぜか行ってしまうすがきやラーメン、名古屋はうまいですね!

    また名古屋ツアー企画いたします!

    ぜひ覗いてくださいね!

    返信削除
  15. 廣田さん
    こんにちは、いつもブログよんでいます。

    お梅さんの話は感動なのですが
    廣田さんの文章力はもっと感動します。

    有名な方のセールスレターにはピクリとも反応しませんが廣田さんのブログには感情が揺れ動いてしまいます(^_^;)

    僕が言うのも恐縮ですが
    日本一のブログです。

    いやシュガーマンに勝っていますので世界一です。本気でそう思います。

    『パラレルワールド』は宇宙一です。

    これからもずっと応援しています。

    返信削除
  16. nagamasaさま、コメントありがとうございます!

    >廣田さんの

    過分なお褒めのお言葉、ありがとうございます!照れます(汗)が、とても嬉しいです!

    >シュガーマンに

    これまた過分な・・・
    ソルトマンというペンネームで対抗してみようかしら。塩っぱい男、という感じで良くないか。

    >宇宙一

    でも、このようなお褒めのお言葉で勇気づけられて、また頑張る事ができます!ありがとうございます!

    またぜひ覗いてくださいませ!

    返信削除
  17. 廣田さん


    いつも欠かさず読ませていただいております。

    船川さんが「変化」に気づいてからというもの、なんだかキャラクターの輪郭がはっきりしてきましたね(笑)路線が見えてきたような。


    お梅さんの話、素晴らしいですね。

    関わることすべてに興味を持ってないと、ただ「おいしい!」で終わってしまうので、大切な視点です。コヤシになります!


    いつか僕も行ってみます!

    返信削除
  18. 匿名さま、コメントありがとうございます!

    >いつも欠かさず

    ありがとうございます!嬉しいです!頑張って毎日更新できるようにいたします!

    >関わる事すべてに

    そうですね!おいしいのもいいことですし、周辺の事柄を知ると、もっとおいしくなります!これはビジネスでもいえるかもしれませんね!

    >大切な視点

    ありがとうございます!もっとコヤせるよう、頑張って記事を書いていきます!

    また覗いてくださいませ!

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