2014年3月27日木曜日

ある日の皮パン先生 No.0563

昔、もう十数年になるかな。当時はまだ従業員が私を含め数人で、年商もたいしたことはなかった。あの頃は、本当に朝から晩まで休みなく仕事をしていて・・・大晦日の除夜の鐘は仕事をしながら聞いたし、台風の日は私自身も徹夜でパトロールをしたりしていた。

そんなころ、事務所の近くに、ひとつの学習塾があったのです。

ある日、ウチの若い衆 – 今は私よりも組織にとって重要な存在、小林が事務所に帰るなり、こう言った。

「あの塾に、すごい美人の先生がいる!」

どうやら話を聞いてみると、その先生は、とても美人で、清楚ですらっとしていて、そして、、、

いつも皮のパンツをはいているらしい。

自然と、その先生は、
ウチの事務所内で、勝手に、、、

「皮パン先生」

と呼ばれるようになった。

・・・

あれから十数年が経ち、皮パン先生の塾の近くから事務所は移転し、違う地域の、大きな本社ビルに変わった。

あの頃の事務所がどうなっているかはよく知らない。

家賃15万円の賃貸事務所だったので、どこかが借りてるのだと思う。空き家になってるかもしれない。

まして、その塾のことなんて、全くわからない。

・・・

実は、私は、当時、その皮パン先生の姿を見たことがなかった。
若い衆たちが、

「今日も皮パン先生いたなあ」

とか、

「皮パン先生、やっぱりかわいいなあ」

などと言ってるのを横で聞くだけで、
ただの一度もその目で見たことはなかった。

しかし、見てない分、想像は膨らんだ。

皮パンが好きということは、足はスラリとしてるんだろうな。腰の位置も高く、多分、お尻も上がって、背筋は反り返った感じで、云々。

きれいな感じの人なのだろう、
と想像するとともに、、、

初期の「しゃにむに頑張っていた頃の自分たち」と重ね合わせ、何となくノスタルジックな気分に浸っていた。

「皮パン先生」という言葉は、単なる女性のことではなく・・・

脇目も振らず、一生懸命働いていた、ある意味最も幸せな時期、前だけを向いて、がむしゃらに希望に燃えていた、、、

そんな時期のシンボルであったりしたんだ。

・・・

あれからずいぶん、いろんなことが変わった。

当時と比べ、なんか偉そうぶってふんぞり返っている今、あの頃のことを懐かしく思ったりもする。

食事を取る時間も惜しんで仕事していたあの頃と違って、

私は、まるまるもりもり食べて、まるもりと呼ばれ、

顔はパンパンにふくれあがり、古くからの仲間、あのころの「皮パン先生」を知っている仲間たちからは、、、

「顔パン先生」

と呼ばれている。

なんちゅうか、まあ、深い意味は全くありません。


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