2017年9月7日木曜日

神は細部に宿る No.0746

時計が好き。車が好き。アートも好き。
よく、「時計なんて時間がわかればいい。高級時計なんてナンセンス」という言葉を聞く。

車もそうだよね。走ればいいじゃん!って。

確かにそうなんだけどさ、ちょっと違うんだよね。

今日はそんなお話。

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例えば、時計だと、実際時間を知るのはスマホで十分。

むしろ、一千万円の時計より、スマホの方が正確だったりする。ロールスロイスよりベルファイアの方が広いし。

じゃあ、なんで高級時計や高級車に意味や価値があるのか?

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これね、持ってみたらわかる。

例えば、世間でいう高級時計を毎日ハメてたら、絶対わかるよ。

それからは、つい街に出ると「ちょっと覗こうかな」と時計屋さんに寄るようになるからさ。

・・・

「はめてみたらわかる、なんて言わないで、ちゃんと説明しろよ」と思われる方のために、(あくまで概ね性能が同じと仮定して)
安いもの
高いもの
の違いをひとことで言うとさ。高いものは、、、

「精緻」なのよ。

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例えば、もしあなたが「ホンマか?」と思うなら、誰か持ってる人を探して、もしくは時計屋に行って、パテックフィリップという時計を思いっきり倍率の高いルーペで見て欲しい。

どれだけ拡大して、隅々まで見ても、全く何のいびつさ、雑な作りなどのミスは見つけられないはず。中の機械に至るまで全て。

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ブレゲ針という時計の針がある。

紺色の針なんだけど、これは焼きを入れてその後ずっとホウの木だったかで磨くんだ。

鉄が熱されて青色になる一瞬で止める。成功率は3割程度。そして、それを何日もかけて磨く。

そして、滑らかになるよう、全ての「バリ」を取る。

こういうことをしてるから、1つの時計を作るのに、職人がひとつの時計に一年とかの時間をかけるんだ。 

・・・

それが必要かって?

性能には必要ないよ。

でも、我々何かのサービスを提供している側から見ると、自分たちがそのようなサーブをできているか?こういうことがわかるか?は大切なんだよね。

神は、細部に宿るんだ。

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逆に、こういうことがわからない経営者がいたとする。

「食い物なんて何でも同じ。腹が満たされればいい」

そんなお店で食べたいかな?

あたしゃあ嫌だな。

たとえ、安いラーメンでも、心のこもったものが食いたいし、心のこもったサービスを受けたい。

・・・

心がこもってるか否か?それは細かいところを見ればわかる。

ラーメン屋さんの箸袋が汚れていたら?

箸なんて使えればいい?
違うよ。

とことん隅々まで綺麗に掃除されて、初めてその店が気持ちよく感じるんだ。

高級なもの(しっかりと手を入れられて作られたもの)はその「気持ち良さ」がある。

それは、つけてしばらくしたらわかるよ。肌でわかるんだ。

・・・

経営者としては、こういうことが理解できるようになりたいよね。

時間なんてわかればいい?車なんて走ればいい?

違うから。

そんなお店、そんな会社、誰も選ばないよ。

良いものは自分の目を磨き、自分を律してくれ、そして、自分の人生を豊かにするよ。

・・・

余談ながら「マリーアントワネットの金時計」を作ったブレゲさんは、制作に44年をかけた。

発注者であるマリーアントワネットさんが死んでから30年以上も経ってたんだ。(当のブレゲさんも死んでから四年後の完成だった)

職人っていうのは、こういうものなんだよね。志の高さが違うんだ。そしてそれが、人の心を打つんだ。私たちも同じだよ。

商売してる人はそれを知るべきなんだ。

・・・

高けりゃ良いってもんじゃない。
ブランドに振り回される必要もない。

でも、寝巻きでも何でも良いい。良いものを1つ持ってみよう。

そしたら、スペック以上のものがあることがわかる。

用をなせばいい?

それじゃあ寂しいじゃん。
人生。

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ちなみに、ベッドのマットレスはお金かける価値あるよ。1日の1/3はそこにいるんだからさ。シモンズかシーリー買って使って見てよ。

2、3日寝てみたら「ベッドなんて寝られればいい」なんて絶対言わなくなる。

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時計でもいい。車もいい。

「無意味に高けーんじゃねえ?」と思うもの、ひとつ持ってみようよ。

しばらくしたら、「肌が喜ぶ」感覚に気づくからさ。持ってる人はそれがわかってるんだよね。

んで、もし「買ってみて、損した!」と思ったら、言ってきてね!

いくらでも謝る用意はあるよ!

・・・

写真はクリスティーズのオークション会場。アートも同じ。いいものには神が宿ってる。細部にこそ。
私は語源不明のこの言葉、ミースファンデルローエが好んで使った、「God is in the details(神は細部に宿る)」が好きなんだ。

私たちのビジネスもすべからくそうでありたいね。


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