筋トレしてる。
んで「どうしてトレーニング続けるの?」とよく聞かれる。
一応、元はプロのスポーツ選手だった。まあ、今で言うキックボクサー。スポンサーもついてくれ、住む場所を与えられ、生活の心配なくトレーニングができた。
で、引退して、普通の仕事を始めた。
・・・
筋トレにはいいことがたくさんある。
まず、見た目が良くなる。若く見える。海やプール、お風呂に行った時(多少)カッコいい。毎日の短調なトレーニングを続けることで、毎日「小さな勝ち」を拾うことができる。勝ち癖がつくし、何より精神的に強くなる。自分との戦いだからね。素質も関係なく、誰でも伸びるスポーツ。
まあそんなことで、続けてる。
サボりたい日もなんとか頑張る。
・・・
筋トレはとてもいいから、お前たちもやりなさいと、うちの社長連中にも言ってる。
やる者もいるが、やはりなかなか難しい。
私のようにフラフラ遊んでいるようなものと違い、朝から晩まで一所懸命最前線で戦ってる社長連中は、仕事が終わったらもうクタクタ。
わかってはいても、そんなエネルギーは残ってないもんだ。
・・・
かくいう私も、昔、前線で業務をしてた頃は、全くトレーニングなんて出来なかった。
四十くらいまでは、全くトレーニングできず、筋肉は衰え、素人さん同然の身体になってしまっていた。
ムーミン。
鏡を見ると選手時代の貯金なんてどこへやら。ただのムーミンがそこにいた。
・・・
そんなある日。
平先生の誘いで、マッサージの講習に参加した。
その主催者は、小森さんと言って、ボディビルの日本クラスの人だった。
そして、参加者には現役のシュートボクサーもいた。
シュートボクシングは、立ち上げの時お手伝いをさせていただいた。グラップラー刃牙のモデル、平直之選手のデビュー戦は私がジャッジを務めた。(あの頃からあの人強かったなあ)
そんな中、ムーミンの私は、マッサージの講習会場で平先生から「元キックのプロ」と紹介された。
・・・
マッサージが始まると、やはり、体を触り、触られることになる。いかかわしい意味とは別で。
現役のシュートボクサーの体は、蟹でいえば身がたっぷり詰まった、密度の高い筋肉。しっかり詰まって、かつ柔らかい。
ひと触りして、嫉妬するとともに、焦った。今度私が触られる(変な意味じゃないよ)番。プロならひと触りしたらわかる。
「こいつ、ダルダルやん」
ということが一瞬でバレるのだ。
「これが元プロの体かよ」と思われるのが嫌で、私はひとり恥ずかしくて仕方がなかった。
・・・
引退して長いとはいえ、ダルダルのムーミン。付くべきところにも、筋肉は残っていない。
「キックボクサーって大したことねーなあ」と思われることで、業界に迷惑をかけているような気さえしたんだ。
・・・
私は小森さんに聞いてみた。(そういえばキック時代の仲の良い先輩も小森先輩だったなあ)
「小森さん、トップビルダーに近い維持をされてますが、お仕事大変でしょ?トレーニングする時間あります?」
小森さんは「実は一日15分で維持なんてできるんですよ」といい、自分のトレーニングビデオをくれた。
簡単にいうと多少重量を入れたサーキットトレーニングなのだけど、多少の維持はできるよ、ということだった。
・・・
たとえ15分でも、それがたったの一歩であったとしても、全く歩かないとのは違う。ゼロと一歩。それは文字通り、天と地ほど違うんだ。
私は、怠けていた自分が恥ずかしく、それから「たとえ15分でも」とトレーニングを始めた。
10年以上経ったが、今も、その一歩を歩き続けてる。
・・・
あの時、恥をかかなければ、今日までジムワークは続いてないだろう。
「元キックのプロですか、さすがいい身体してますね」と言われるだけのものは、キープしなきゃなんない。
それが、キックの業界に対しての、私の禊なのだ。
ということで、さあ、今日も頑張るか。たとえ一セットをやるだけでもいいんだ。一歩は歩いたぞ。
・・・
0 件のコメント:
コメントを投稿