《引越した。地獄が始まった》
*今日の記事はコロナじゃないです
*今日の記事はコロナじゃないです
友人にT田さん、という人がいる。彼は東京の大手建材メーカーで商品開発をしていた。有名大卒のいわばエリート。そのまま行けば役員、社長も夢ではないポストだった。
待望の娘さんが生まれたのをきっかけに、京都にほど近い地方都市に引っ越した。生後、半年の事だった。可愛くて、目にいれても痛くない、そんな頃だった。
この娘のために、転勤のない暮らしを与えてあげたい、それが理由だった。
引越した。しばらくして、地獄が始まった。
・・・
ある日、いきなり娘が、夜むずがり始めた。身体中をかきむしる。
二歳になるかならないか、というところだった。
アトピー性皮膚炎。
身体中が痒くなる。かきむしると、そこがさらに痒くなり、掻いて掻いて、さらに悪化するという悪循環になる。
身体中が真っ赤になり、血が出てきて、それでもそこを掻きむしる。なかなか眠れない、痒い痒いと泣く娘。掻かせないように手袋をはめたりしても、痒みは止まらない。これが毎晩続く。
・・・
重度アトピーの子供を持った親にしかわからない、地獄がそこにある。
妻は、アレルギーを持った子供を産んだ自分を責めた。まるで自分に原因があるかのように。「この子を殺して私も死ぬ」とまで言い出しかねなかった。
眠りながら、そして泣きながら身体中を掻きむしる娘を見て、毎晩2人で泣いた。
・・・
T田さんは、例にもれず、いろんな医者に行った。
藁にもすがる思いだった。
普通の医者、また、人に勧められた医者、はたまたスピリチュアル系まで。
「あなたたち親が改心したら、娘のアトピーは治るのだ」とまことしやかに言う教祖さまのところまで。
よく噂に聞くステロイド剤だけは使いたくない。未来のある女の子。これから子供を産んで育てていくべき子供に、後々副作用を残すような治療はさせたくなかった。
かと言って、このままアトピーが治らないとしたら、年頃になっても身体中の肌がボロボロになって治らないとしたら、、、
娘の人生はどうなってしまうのだろう?
学校に行って、アトピーが原因でいじめられたりしないだろうか?顔まで赤みが広がる娘を見て、この娘が年頃になって治らなければどうしよう。外見を悲観したりしないだろうか?友達は、彼氏はできるだろうか?楽しい青春を送ることができるのだろうか?結婚は…できるのだろうか?
・・・
彼はある日、ふとした事に思い立った。以前、東京で建材メーカーに勤めていたときのこと。
当時、まだ日本にはホルムアルデヒドの被害は全く認知されていなかった頃だった。
彼はその開発部門にいて、ホルムアルデヒドの存在、その害を知っていたのだ。
(ここの部分は、ある意味他者への揶揄になるため、少々事実をボヤかして書くことをお許し願いたい)
簡単にいうと、ホルムアルデヒドの害について、国はある程度把握していた。しかし、商品というものはある日いきなり「害がある」とするとそれまでのものが無駄になる。
なので、害を発見した、となってもしばらくの間は公表を避ける。
社会の闇。これ以上深くは話せないにせよ、そういった事実はある。
彼はそのことを知っていた。それを思い出した。
・・・
東京に住んでいたとき、「地方都市なら空気も環境も良いだろう。娘にとっても良いはずだ」と考えていた。
そして、引越した先は新築マンション。ひょっとして、これが原因ではないのか?と。
前職時代、ホルムアルデヒド問題に対処した。そして、そのことはしばらく公表されなかった。
その間に、つまり、ホルムアルデヒド問題が世に出る前に建てられたマンションだった。
・・・
果たして、やはり原因はそのマンションの建材であったと考えられる。
彼は、家を建てた。
ホルムアルデヒド問題に国内でも最も早い時期に関わった人間として、徹底的に、自然素材にこだわって。
もちろん、彼は湯水のようにお金を使ったわけではない。自然素材の家は高い。自然素材を効率的に使い、当時の自分の給料でまかなえるよう、お値打ちにできるよう工夫した。
そして、アトピー改善をとことんまで追求した家が出来上がった。
娘のアトピーは、ほぼ無くなった。
・・・
現在、巷にも自然素材の家はある。しかし、かなり高額だ。そして、アトピーに悩む子供を持つ親は、概ね若い。若い時期は、そんなにお金があるわけではない。
彼らに必要なものは、お値打ちにできる、自然素材の家。
生活に無理のない、それでいて、アトピーやアレルギーを改善できるような家。
それが理想だった。
・・・
アトピーなり、アレルギーなりの原因はまだはっきりと解明されていない。
ある日いきなり、発症したりもする。そして、それを予測することはできない。
原因がはっきりしない以上、あらゆる可能性を排除していくしかない。
ただ、巷で言われているように、ホルムアルデヒドなりの問題、住環境による問題は間違いなく存在する。
今、アレルギーがあろうがなかろうが、少しでも、我が子を良い環境に住まわせたい。
それが、世間の全ての親の願い。
・・・
彼の娘は今年結婚する。
彼は語る。
「自分の人生の全てが、娘のために、そしてこの時のために存在したとしても、全く後悔はありません」
・・・
彼は今も、研究室を立ち上げ、アトピーの研究を続けている。自分と同じ悩みを持つ人のために、アトピーを改善する家を造っている。
請けた仕事は全て、自分が目を通して行いたい。だから他人には任せない。設計、管理まで全て自分一人が行う。
どんな家をつくっているかって?
アトピーを改善させる家の秘密、それは本書でご確認ください。
《推薦文》
公益財団法人 SHG財団理事長
廣田康之
公益財団法人 SHG財団理事長
廣田康之
・・・
この後、彼の本が出版されます。私が推薦文を任されました。完成が楽しみです。
0 件のコメント:
コメントを投稿