2011年6月1日水曜日

トイレの神様 No.0220

こんにちは、廣田です、
歌などで聞くところによると、、、

トイレには神様がいるそうです。

常に誰かに見られている、と
いう事なのだろうか。

怖い。


・・・


トイレ。

先日、友達の家に伺っているときのこと。

トイレのほうから、

「キャー」

という叫び声が聞こえてきました。


神様かチカンでも出たのか?と思ってみて見ると、、、

周りの床が水浸し。


どうやらトイレが詰まって
水が溢れ出しているようです。

まあ、よくある事です。



・・・



「ちょっと見せて」

と私は靴下を脱ぎ、
そのトイレに近づいて行きました。

まあ、トイレの便器から神様ならぬ
水が溢れ出して、床から
ローカにまで水が出てきています。


ヤバいです。
中を見ると、水とナニが混じった水が
渦巻いています。


出番だ。

人んちのトイレだけれど、、、

出番だ。


だって、元々、、、

そういう道のプロなんだもん。



・・・



昔、現場に初めて入ったころ。

解体とか、いろんな仕事もしていました。
どんな仕事も、建築に関わるものはほぼ全て。


そのとき、便器を直す作業がありました。


当時、私は、

「便所は汚いもの」

と思っていました。


ある日、先輩職人が、

「ヒロやん、そのトイレ外してこっち持ってきてくれ」

え?これ?
う○このような黒いのがこびりついてるし、
黄色く変色してる場所は確実に目につく。
これ、手で触るの?
えええ?

「ナニしとんのや!どけ!」

私を押しのけた先輩は、
素手でそれをつかみ、
すぐ外してしまいました。


うわー、汚い・・・


初めてのとき、
私はそう思ってしまったものです。


先輩は私に言いました。

「お前、この道で食って行きたいなら、
 二度とそんなこと心にも思うな」

たぶん私が何を考えていたのか、
彼には分かったのでしょう。



・・・



私は、その友人ちのトイレに入って、、、


「あ、詰まっちゃってるね。
 直してあげるから、
 シュポシュポするヤツありますか?」


あのスポイトみたいなヤツ。
現役時代も、なぜか正式名称は使わず、
シュポシュポと呼んでいました。


「そんなのないです」


え?ないの?

しゅぽしゅぽないの?


「何を言ってるか、全く分かりません」


つまり、器具はないのね。
まあ、しゃあないな。



・・・



私はスーツの上着を脱ぎ、
シャツの袖をまくり、便器に手をつっこみ、
手をシュポシュポみたいにして、
肘まで水(ちょっとナニがまじった)に入れました。

友人は、「あ、そんな、汚い」と目を丸くしています。

数回お手てでシュポシュポしました。

ジャババー!ーボーと、音を立てて
トイレの詰まりは流れて行きました。


どんなもんだい。


素手でシュポシュポの形を作って
トイレの詰まりを流せるのはオレくらいさ。



・・・



昔、私がその業界に入って数年して、
そろそろ慣れてきた頃。

同じような修理をよく行っていました。


詰まっちゃったんですよ、困りましたよ、
そう言われるお客様の家に行き、
素手でトイレに手を突っ込み・・・


即座に直していました。


お客様たちは、一切
汚さそうな、そぶりも見せない私を見て・・・

「廣田さん、ここも頼みたいのだけど、
 見積もりしてくれる?」

そう言って、値の張る仕事を
わざわざ別に作ってくれたりしました。



・・・



トイレは汚いものかもしれません。
でも、どんな家も、その住む人にとって
本当に大切な愛着のあるものであり、
神様の住むような場所なのです。


その場所に入れてもらって、
頼りにしてもらった私たちが、「汚い」なんて
考えるだけでも失礼というものです。


大切に扱う。


たとえ便器でも。


「トイレ」という、一般的に汚い、と
言われている場所だからこそ、
綺麗なものとして扱う。


そして、そういう姿勢を見たお客様が、
「この人に頼もう」と、
わざわざ新たに仕事を作ってくださるのです。


そうして頂く仕事は、
本当にありがたく、誇らしく、そして、、、
楽しいものなのです。


喜ぶ顔が見れて、
しかも感謝され、またそれが仕事につながったりする。


こんな嬉しい、楽しい事はありません。


先輩、あんたのおかげやわ。
ありがとう。



・・・



友人の家の人は、

「あなた偉い人って聞いてますよ、
 そんな人に、こんな事させてしまって」

と申し訳なさそうに驚いています。

「消毒液持ってきたよ、廣田さん早く手洗って」

いやいや、消毒なんて大げさな。



実はね、昔から、よくやっているんですよ。
慣れてるんです。


でね、昔も今も、、、

こう思ってやっていますよ。

楽しいなあって。



・・・



ひょっとして、、、

神様いたりしてね。

8 件のコメント:

  1. しゅぽしゅぽww

    「仕える」ということの端的な表現ですね、
    トイレを綺麗にするということは。

    どうしても日常的に汚れやすいのは、
    人の心が汚いものとして敬遠しているからなのですね。

    人が避けることを率先してやるということは、
    サービスということなのかな、と思いました。

    ありがたいですもん。

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  2. 廣田様、

    ありがとうございます。

    いつも勉強させて頂いております。

    >一般的に汚い、と言われている場所だからこそ、
    >綺麗なものとして扱う。

    本当に素晴らしいです。

    仕事において私に足りなかった
    部分かもしれません。

    ハンマーで頭を殴られたような
    気分です。

    >喜ぶ顔が見れて、
    >しかも感謝され、またそれが仕事につながったりする。
    >こんな嬉しい、楽しい事はありません。

    想像しただけでワクワクして来ます。

    今日頂いたマインドは一生の宝にします。

    本当にありがとうございました。

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  3. Providenceさま、こめんとありがとうございます!

    >しゅぽしゅぽ

    実は、正式名称を未だに知らないのです。シュポシュポで通るので(笑)なんて言うのかな、調べるまでないか・・・

    >人が避ける事を

    そうですね、サービスという意味ではそうだと思います!でも、もっと大切な事は、「そのお客様に取って大切なものをお客様以上に大切にする」という事だと思います!
    ああ、この人は、私たちが大切にしているものを私たち以上に大切にしてくれる人だ、そう思ってくださり、信頼してくださるのだと思います!

    その頂いた信頼こそ、私たちに取ってとても大きな「果実」であり、それを頂ける事はとても楽しい事なのだと思います!

    また覗いてくださいませ!

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  4. 小島さま、コメントありがとうございます!

    >いつも勉強

    こちらこそ、いつも覗いてくださってありがとうございます!

    >仕事において私に
    >想像しただけでワクワク

    いいですねー、そう思える人は「足りない」という表現が適当なのではなく、もっと増やして行こうと改めて思った、と言う事なのだと思います!

    これは病み付きになりますよ!とても楽しい事です!

    >一生の

    はい、もしこれを一生忘れず続けて行動できたら、確実に成功するし、その人の人生は豊かなものになって行きます!保証します!

    また覗いてくださいませ!

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  5. 友達に難儀にを助ける

    どんな状況であれ、さらりと行動する廣田さんはやっぱりカッコいい!

                 カカトコリ 拝 

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  6. おお、カカトコリ師匠、コメントありがとうございます!

    ブログ覗いてくださってるのですね、光栄です!

    >友達に難儀にを助ける

    師匠こそ!いつも倶楽部のみんなが助けられています!私の出版の際も手を取り足を取り助けていただきました!
    ありがとうございます!

    また是非覗いてくださいませ!

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  7. 廣田様には頭が下がります。
    工務店なので年に数回はしゅぽしゅぽを持って作業することがありますが、手のしゅぽしゅぽは出来ません。
    先日も高齢者のおむつが詰まってしゅぽしゅぽではどうにもならず、配管屋に便器はずして直してもらいました。
    気持ちの問題ですね。ありがとうございます。 福代

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  8. 福代さま、コメントありがとうございます!

    >手のしゅぽしゅぽは

    はい、手のしゅぽしゅぽは多少技術がいります!ぞうきんを使っても効果的ですよ!

    >先日も高齢者の

    大変ですねー、おむつはさすがに流れませんね。私も無理です!おむつ流した場合は便器外すのがいいでしょう(笑)

    >気持ちの問題

    はい、おむつは気持ちでは流れませんが、お客様の持っているものを大切にする気持ち、それだけが大切ですね!福代さまはすでにお持ちだと思います!

    また覗いてくださいませ!

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