2019年1月2日水曜日

メイウェザー天心戦 No.0859

《メチャ長い。メイウェザー天心戦》

メイと天心終わったね。ボクシングルールなら、触れることすらできないだろう、と予想していたけど、まあそらそうやわな。

友人知人から、「おかしくない?なんであんなこと(試合、ルール)になったの?」とよく聞かれる。ライジンに聞いてよ、という感じなんだけど、ちょっと解説してみよう。


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ボクシングデビューの20歳と、5階級制覇の世界史上最高のスーパーチャンピオン。しかも、実際の体格はジュニアフェザー級対スーパーウエルター級。ジュニア入れて6階級差だよ。

(テレビで四キロ差とか言ってたけと、あれは計量時の体重。実際の体格差は12キロ以上。それと、メイウェザー、ホントに計量うけたのか?なぜそのシーンを非公開にした?)


それで、そのスーパーチャンピオン側の一方的な条件を飲んだ。それがおかしいと。逆じゃないの?なんで格下が全て歩み寄らなきゃなんないの?というもの。


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その前に、賛否両論あるけれど、まあ、よく頑張ったじゃん。


勝ち負けは元々論外、触れるか?本気にさせれるか?を問うていた試合。(絶対勝ちます、は必ず誰でも言うからね)


その観点からいくと、十分だろうよ。メイが本気になったかどうかは別として、倒しには来た。


そして、倒されても、前に出た。一度グラブを合わせた状態で、これはどうしようもない、とわかったはず。でも、前に出た。逃げなかった。


なので、大成功ですよ、天心。


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ここからが本題。


非難の一番大きなものに、「この試合を組むべきだったのか?」がある。


組まないほうがよかった、と言うのは簡単。では、なぜそうなったのか?を主催者側に立って考えてみたい。


こういう話、主催者は言えないから、代わりに言う。想像も入ってるから、事実と合ってるかどうか、責任は持てない。


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さて、まず、この試合のきっかけ。最初メイから打診があったそうだが、それはどうでもいい。多分「ライジンと何かやれたらいいね」くらいのものだったのだろう。


でも、ライジンは食いついた。何故なら?メイを呼べるなんて、考えられないことだから。


折しも、ライジンの視聴率低迷で「10%取れなきゃ地上波終了」的な状況だったらしい。なので、本来は年末に行おうと思っていた堀口天心戦を9月に早倒しした。


そんな中の、メイウェザー。これに飛びつくのは至極当然だった。


そんな背景がある。


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よく、「受けた天心側も悪い」的な意見も多い。勝てるわけがない、ナンセンスだと。


しかし、受けた当初は、ルールは決まっていなかった。キックボクサーとやるのだから、当然ミックスはあり得る、と主催者側も考えていた。


ボクシング初心者と、歴史上ナンバーワンのボクサーと、しかも6階級体重が上で、多少は譲歩してくれるだろう、と。


で、受けた、という次第がある。これは決しておかしくない。


キックありなら勝てるか?はわからない。しかし、内容と可能性は確実に変わる。


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天心側から見たら、とにかく格闘技を盛り上げたい。そのために自分が犠牲になり、礎になる覚悟は持っている。


しかも、相手はメイウェザー。やれるだけでも光栄。これは、誰でも受ける。仮に堀口にオファーが来ても受けただろう。


堀口天心戦でもわかるように、今の選手たちは、自分の勝ち負けよりも、格闘技界全体のために頑張ってる。


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次に、メイはいつもの揺さぶりをかけて来た。「俺は試合って言ってない」的な。これはいつもの同じ手。自分を有利に持っていこうとすることに長けている。ここから勝負は始まってるんだ。武田信玄の「戦う前に勝て」だよね。


で、ライジン側は「とにかく実現することのみが目的」になった。


なので、この後、メイウェザーからの一方的な交渉を通さざるを得なくなった。


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その結果、あまりに一方的なルール、条件になった。一切蹴りなしのボクシングルール、体重はメイに合わせ、グローブハンデもなし。


一番最初からこの条件だったら?ひょっとしたらジム側は受けなかったかもしれない。冗談じゃねえよ、ってとこだろう。


しかし、実現に向けて一生懸命努力してる主催者を見たら、途中からやめるという選択肢は無かったろう。


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改めて考えてみよう。


かたや世界史上最高のボクサー。5階級制覇、一度の試合で330億円を稼ぐ選手。


かたや、20歳の、キックボクサー。そして、プロアマ通じてボクシングデビュー戦の選手。


体重は、馬鹿げた(ジュニア挟んで)6階級差。しかも、逆ならともかく、デビュー戦の選手が6階級小さい。


その上、ボクシングルール、グラブハンデなし。(なぜか、グラブハンデを最終的に受け入れた。これ、計量時に超過してたからではないのか?と思ってしまう)


本来、試合にならないものを、さらにかけ離れたものにした。


これ、ラスベガスで賭けたら、オッズは千倍以上離れるだろう。


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ではなぜ、最終的にもこれを受け入れ進めたのか?(受け入れ進めた時点で文句は言えない、との意見もあるだろうが、本人たちは文句言ってない。私が言ってるだけ)


これは、アレコレ言うとメイが試合をしない、という心配があった(事実、主催者へのリスペクトはなく、全て好き勝手やっていた)のと、


もうひとつは、、、


罪といえばこれが罪なんだけど、、、


天心なら何かやってくれるかも、という期待は確かにあった。


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本来、勝ち負けなんぞ論外、という試合。勝てるわけがない。当の本人もセコンドも、分かりすぎるくらい分かっている。


(試合前の天心のSNS煽りコメント、あれは、試合前の選手ならみんな言うこと。まして、挑発しないと、メイが試合しないという心配もあった)


勝てるわけないにしても、いくつかのパンチを当ててくれて、3ラウンドのゴングを立ったまま聞く、というのが主催者の最高のシナリオだっただろう。


ただ、あそこまで一方的になるとは、というのが誤算だったと思う。メイが多少手加減するだろう、というのもあったはず。


多少なり本気にさせた天心が偉かったというところか。その意味では、当初の目的はちゃんと果たしたと言っていい。


(改めて、ボクシングの真のチャンピオンの技術も垣間見た。この辺りは佐々木選手が解説されてるので見てほしい)


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こんなところが舞台裏ではないだろうか。


ボクシングルールなら触ることもできない、との予想どおりにしても、やはり結果には様々なものがつく。団体への批判もそのひとつ。


そして、今回の興行で、(視聴率にもよるが)ライジンの地上波は最後になる可能性も十分ある。


せっかく盛り上がって来た格闘技が下火になってほしくない。こんな時こそ、ファンたちの出番だと思う。


私たちが支えていかなきゃならない。


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ちなみに、ヤフーニュースのコメントなどを見てると、アレだコレだ、アンチ的なコメントが多い。


しかし、コメントしてるということは、多少なり格闘技が好きなのだろう。


批判をするのも勝手だが、この先、地上波が去って、以前の氷河期に戻らないよう、できることなら選手たちを励ます、支える方向に変えて欲しい。


でないと、もう見れなくなってしまう。


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アンチを語るのは簡単。しかし、また格闘技が下火になったら、そのアンチコメントすらもできなくなってしまう。


なので、応援してやって欲しい。それが、私たちファンのためでもあるんだ。


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余談ながら今回の試合、興行主やジムオーナーが金のためにやった、なんてコメントあるけど、お門違い。


昔から、財界では、格闘技やると破産するって言われてんだよね。格闘技は儲かんないよ。


ライジンは、団体の生命をかけて、この試合を組んだ。その分、儲かるか?全くそんなことない。存続を賭けて、望んだんだ。だからこそ、メイのすべての条件を受け入れる他なかった。


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何よりとんでもない条件を受けて、戦った、天心に、心から祝福を送りたい。


最後まで逃げずに前に出たよ。素晴らしい。K1の皇治がコメントしてた。


「誰がなんぬかそうが、相手のブっ飛んだ条件でド付き合った天心君はイケとるやん」


・・・


ライジンさん、お金をすっからかんにしてまで、この試合を実現させてくれてありがとう。


天心くん、選手生命を賭けて、考えられない格上からの、言いたい放題の条件を全て受け入れて、文句も言わず戦ってくれてありがとう。


しかも、その中で、終始前に出た。我々ファンは心から感謝します。


どうか、格闘技の火が消えませんよう。ファンの一員として、支えていきたいと思います。

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